落雁は、砂糖と米粉を主原料とした日本の伝統的な和菓子です。
口に入れると、ほろりとほどけるようなやさしい口どけが特徴で、古くから神社仏閣への御供物や、お茶席の菓子として親しまれてきました。
見た目の美しさも、落雁の魅力のひとつ。
桜や菊、鶴や亀など、季節の自然や縁起物をかたどった形には、日本ならではの美意識や願いが込められています。
如水庵でも、夏のお盆の時期に合わせて昔ながらの木型を使いながら、職人が一つひとつ丁寧に落雁を作り続けています。
その繊細な形と、口の中でふんわりほどける食感は、職人の経験と感覚によって生み出されています。
では実際に、落雁はどのように作られているのでしょうか。
和菓子職人 佐藤さんに、落雁づくりのこだわりについて話を伺いました。
■職人のこだわり ― 受け継がれる落雁づくり

如水庵の落雁に使われる素材は、とてもシンプルです。「砂糖」「米粉」「でんぷん」、そして「しとり」。
この“しとり”とは、水あめに水を合わせたもの。しとりの加減ひとつで、落雁の仕上がりは大きく変わります。職人によると、しとりが弱いとほろほろとほどけるような食感に、逆に強すぎると、かたく締まった落雁になってしまうそうです。
その日の室内の気温や湿度を見ながら調整していく――。
ここにも、職人の経験と感覚が生きています。
形によっては、生地に緑やピンクなどの色をつけることもあります。生地を木型に詰め、上から「カンカン」と打って形を作ることから、落雁は「打菓子(うちがし)」とも呼ばれています。
■季節や願いを映す、落雁のかたち

落雁は、味だけでなく見た目も楽しむお菓子です。桜、菊、鶴、亀など、季節の自然や縁起物をかたどった木型には、それぞれに意味や願いが込められています。
如水庵では、江戸時代の終わり頃から、庄右衛門・庄平親子が神社仏閣への御供物として落雁づくりに従事していました。その頃から代々使われてきた、美しい木型の数々が現在も残っています。
そして今もなお、その木型を使いながら、職人が一つひとつ丁寧に手作りで落雁をこしらえています。

木型は使い続けるほどに味わいが増す道具。
日々の手入れもまた、職人が欠かさず行っている大切な仕事のひとつです。

(博多駅前本店では如水庵で使われている落雁の木型の一部を展示しております。間近で見ることができますので機会ございましたら是非お立ち寄りくださいませ。)
■職人に聞く、落雁づくりの技

(和菓子職人 佐藤より)
型押しは、落雁づくりの中でも特に職人の感覚が問われる工程です。生地を型の隅々までしっかり押し込むことで、細かな模様がくっきりと浮かび上がります。
ただし、強く押し固めすぎると、口に入れてもほどけない硬い落雁になってしまいます。
反対に弱すぎると、生地がスカスカになり、壊れやすくなってしまうため、ふんわりと押し込む 絶妙な力加減が必要になります。

型打ちの後は丁寧に取り扱いながら乾燥させます。乾燥の具合でも出来上がりは変わるため、その日の湿度に合わせて乾燥時間を調整しています。
如水庵では「ホイロ」と呼ばれる機械を使用し乾燥させます。
また、一度乾いたように見えても、湿気の多い場所に置くと水分が戻ってしまうことがあるため、保管にも細心の注意を払います。
最後に、底面がぼろぼろにならないよう「源ベラ(げんべら)」で平らにならして仕上げます。こうした細やかな手仕事の積み重ねが、落雁ならではの美しさと、口の中でほろりとほどける食感を生み出しています。

佐藤さんありがとうございました!
こうして作られる落雁には、素材のシンプルさと、職人の繊細な手仕事が詰まっています。
木型の模様、ふんわりとした口どけ、そして季節を感じる美しい形。
一つひとつの落雁には、日本の和菓子文化と、長く受け継がれてきた職人の技が息づいています。
これからも如水庵では、昔ながらの木型と技を大切にしながら、ひとつひとつ心を込めて落雁づくりを続けていきます。
