御題菓製作秘話

御題菓製作秘話

2021年の御題「実」

如水庵では毎年歌会始の御題にちなんだ「御題菓」を製作します。

(※天皇がお催しになる歌会を「歌御会」といい、年の始めの歌御会を「歌御会始」と呼ばれていました。)

大正15年以降は「歌会始」と改められ、今に至ります。

毎年1月10日前後に皇居宮殿松の間にて行われ、毎年その年の御題を詠み込んだ歌が披露されます。

2021年の御題は「実」

橘は 実さへ花さへ その葉さへ ()に霜ふれど いや常葉(とこは)の木(万葉集第6巻 1009) 聖武天皇 (大意)橘は、実や花やその葉もすばらしいのですが、枝に霜が降っても、ますます栄える常緑の木ですね。

御題菓 花実

・御題菓「花実」

「花実」は花と実のこと。苺の寒天で「花」を、薯蕷生地を巻いたオレンジ羊羹で、縁起が良いとされる「実(橙)」をあらわしました。

古くから日本では、柑橘類を総称し橘と表現しますがここでは橙のイメージです。

橙は、鏡餅に飾ることでも知られていますが橙は冬になると熟して色づき、冬が過ぎても3~4年は枝から実が落ちることはありません。翌年の夏には、また緑に色が戻り代々続くことから名前の由来になったと言われています。「代々」から家系の長寿や繁栄に繋がるとし、縁起の良い実とされています。橙が何年も巡るように季節も巡り、春の訪れを連想する苺と組み合わせました。

今回御題菓「花実」を製作しました和菓子職人後藤に話を伺いました。

御題菓「花実」は見た目を洋菓子のケーキのように作りたい!というコンセプトで開発をはじめました。

当初は、浮島を薄く枠に流して蒸しロール生地のようにならないかと試してみました。

しかし、ケーキのスポンジとは異なり粉量は少なく生地に餡も入るため、しっとりと柔らかくなり過ぎてしまいました。

ある程度の硬さも必要だったため、薯蕷饅頭の生地に変更して再度試作。

芋のもつ粘りによって丁度良い硬さになり、きれいなロール状にできました。

また洋の要素を取り入れるため、オレンジ羊羹を巻き、表面を苺の艶天でコーティングすることで、見た目は洋菓子だけど食べたら和菓子という最初に目標とした形に出来ました。

後藤 御題菓・干支菓デザイン画

見た目にも可愛らしく、縁起の良い新春のお菓子が完成しました。

是非新年のご挨拶に、一家団欒のお菓子にいかがでしょうか?

 

 

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