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2024 / Feb

福岡老舗和菓子屋の新たな挑戦。2年目若手社員による新商品開発プロジェクトの裏側と想い。

如水庵では入社2年目の社員を対象に、新商品開発プロジェクトを実施しています。

このプロジェクトは如水庵の強みでもある「サプライチェーン」を理解し、若手社員のユニークな発想で新たな和菓子を形にするプロジェクトです。

2021年には一口サイズもなか「もなこ」。 そして、2024年2月には新商品 食べる和歌「うめみづき」が新発売されました。

このプロジェクトを管理している、大串さん・後藤さんにプロジェクトの話を伺いました。

2021年開発菓子「もなこ」・2024年開発菓子「うめみづき」

■軌道に乗せるまでの試行錯誤

———このプロジェクトを実施しようと思ったきっかけは何でしょうか?

大串:きっかけは、プロジェクトの目標にも掲げた2点です。1つ目は、仕事の楽しさを実感して欲しいということ。2つ目は、自分の強みを活かして早期に活躍人材に成長して欲しいということです。

如水庵はSPA(製造小売業)であり、社内にサプライチェーンという大きな魅力あるフィールドが広がっています。しかしながら若手社員からはその全体が見えづらく、また、キャリアが上がらなければその全体に関わる機会が少ない。もっと早期に会社のリソースを理解し、主体的に大きなフィールドに関わる仕事ができれば2つの目標を成し得るのではないかと考え、研修を企画しました。

さらに、企画をしていく上で、開発の工程で各職種に触れていく中で自分の「強み」を発掘ないし再認識し、今後のキャリアを考える機会にもなればと考えました。

 

———印象的だったできごとはありますか?

後藤:若手社員にとって商品開発は初めての連続で、決して容易ではありません。いままで見聞きしたこともないことを学び、考え、決定していきます。かならず課題にも直面しますし、それぞれの個性が少々ぶつかり合うこともあります。中には、「販売前日はドキドキして眠れないほどに緊張する」という社員もいます。

そんな研修期間を経て完成する新商品は大変ありがたいことに大好評です。最終研修で1年を振り返りながらその結果を笑顔で報告しあう姿は「1年前の初回研修から確実に成長したな」と感じ、自信をつけて3年目に旅立つ姿は毎年印象深いものがあります。

 

■伝統技術を大切に“らしさ”と“新しさ”への挑戦

今回のプロジェクトで若手の「イメージ」を商品として形にしたのが、和菓子職人後藤さん。

これまでも和ティラミスやおふく大福クリームチーズなど、和×洋の新しいユニークなお菓子を生み出してきました。そんな後藤さんに職人から見た、2024年のプロジェクト(うめみづき)の裏側を伺いました。

———若手から上がってきたイメージや構想を見たとき、どのような印象を受けましたか?

後藤:年齢的にも若い社員たちが、「古今和歌集」を題材にお菓子を作るという発想に驚きました。また、和歌を琥珀糖で表現しようとしている点でも、難易度の高さを感じました。

ご存じない方も多いと思いますが、琥珀糖は材料がシンプルなだけに、簡単に作ることができます。しかし、表面に砂糖の結晶を出現させるのは、なかなか難しいことです。煮詰め方や、その日の気温、湿度の影響、同じ鍋から作ったものでも、乾かす場所を変えただけで砂糖の結晶状態は変化します。これを製品として一定の水準に保つということの難しさ…。これに挑戦しようとするバイタリティーに感心しました。

 

———後藤さんからみた「うみめづき」の魅力を教えてください。

後藤:如水庵の琥珀糖は、一般的な琥珀糖とは違う!という点です。

大きな違いとして、甘味度が挙げられます。琥珀糖は砂糖の固まりのようなものですから、食べた瞬間「甘い」を最初に感じると思います。如水庵の琥珀糖は、低甘味にすることで、それぞれの梅肉や紫蘇、レモン、梅酒の香りを一番に感じることができるかと思います。

もう一つは、砂糖の結晶変化を楽しむことが出来ます。3種類とも食感は違うのですが、時間の経過でも、砂糖の結晶が多く出現されるようになっていますので、1日目、2日目と変化する食感の違いをお楽しみいただけます。

若手へお菓子の製造指導様子

ありがとうございました!

約1年間お菓子の仕組み説明から、うめみづきの本生産まで指導いただきました。

うめみづきは若手社員が努力を続けてアイディアを出し合った結果に生まれたお菓子ですが、どのお菓子もたくさんの方にご協力をいただき、つくられています。

若手のユニークなアイディアは固定概念にとらわれず斬新で、職人たちもさらに幅広い技術力と知識が蓄積していきます。

その経験とアイディア、知識でこれからも新しい美味しさをお届けしたいです。

 

■新商品開発プロジェクト

———今後の展開イメージや目標など教えてください。

大串:「新商品開発」に限らず、お客様に喜んでいただけて、若手社員も創造力を発揮できるようなテーマを設けて挑戦できればと思います。

例えば、コト売りをテーマにするのも面白いでしょう。この研修は目的・目標を持って臨んでいるものですが、そのプロセスにおいてもたくさんの良い成果を生んでいます。

若手社員研修に関わる全ての従業員が、自身の仕事や教えるという事を顧みて、改めて学び、成長する。自分の成長の幅が大きい程、若手社員の成功を共に喜べるのだと思います。

今後はますます各々の「能力」が活かされる時代。全社員が自身の強みを活かしながら、学び、称えあえる「共走」の組織を目指します。

話しを伺っているだけでも、自分の仕事を見つめ直す機会になりました。ありがとうございました。

このプロジェクトは若手社員のスキルアップはもちろん、部署を越えたスタッフ同士のコミュニケーションも活性化しました。

研修や試作・会議などを通じて、工房・店舗という異なる部署に所属するスタッフが顔を合わせる機会ができ、交流が増えたようです。

こうして試行錯誤を重ねてきたプロジェクトも、次回で3回目を迎えます。

これからも様々な企画を通じて、新たな“和菓子”の可能性を形にしていきたいと思います。

【食べる和歌?!「うめみづき」プレスリリースはこちら】

【若手社員開発和菓子『もなこ』プレスリリースはこちら】